僕が京大を出てAVを撮りたい理由 -セックスを撮らせてくれるカップルを募集します-

僕がどうしても「今までにない新しいAV」を撮りたい理由。そこに至るまでのエピソード。

それはどんな動画なのか。そして何の役に立つのか。

一緒に映像を作っていくカップル様を探しています。

AVって好きですか?

はじめまして。高橋マジェロと申します。

突然ですが、みなさん、アダルトビデオ(AV)って好きですか?

「普段からよく観るよ」という方、「興味ないし、全く観ない」という方、「気になって少し観てみたことある」という方、色々かと思います。

また、観たことのある方は、それらを観てどう感じたでしょうか。「エロい!興奮する!」と感じる方もいるでしょうし、逆に「気持ち悪い」と感じる方もいるでしょう。

ここではみなさんに、ちょっとAVについて考えていただきたいのです。

実はAVがみなさんに与える影響って、大問題なんです。先ほど、「普段から観る」と答えた方はもちろん、「自分は全く観ない」という方の身にも巡りめぐって降りかかってくる問題です。

場合によっては、人が命を落としかねないレベルの問題なんです。

でも、いきなりそんなこと言われても、ピンとこないですよね。

私はこの大問題に気づき、今、それに抗う活動に立ち上がろうとしています。ここに至るまでには、こんないきさつがありました。

ファンタジーにおぼれる性少年

私は昔から性の話が大好きで、小学生の頃にはもう、本棚の百科事典や小説から、性にまつわる描写を必死に見つけ出してきてはドキドキしていました。

女子とは無縁の中高一貫の男子校に入ってからも、性の知識を仕入れてきては、いつも周囲のエロ好きな友人たちと語りあっていたので、いつしか「マジエロ君」、略して「マジェロ」と呼ばれるようになりました。

学校から家に帰るやいなや、また通学の電車内でも、好奇心や欲求のままに、ひたすら自分の携帯やPCでインターネット上のエロ動画を漁るのが日課となっていました。

そこには、リアルな異性との関係を全く持たないまま、メディア上のエロコンテンツに溺れていく1人の少年がいました。

高校時代の私
高校時代の私

高校時代の自室
高校時代の自室

AVってつまんないけど、これが現実なのかな…

しかし、こうしたものを見ても、私の心はどこか満たされないままでした。

画面に出てくる動画はどれも、男性が女性をまるでおもちゃや奴隷のようにもてあそぶものばかり。

しかも決まって「美人の」「いいカラダの」女優さんばかりが出演しているのです。

そして、カメラの向こうの視聴者に向けてこれ見よがしに「アン、アン!」と大声で叫ぶ。

こんな見せ物を見ていても、あまり幸せな気持ちになれない。有り余る中高生の性欲を晴らすため、ヌくための道具と割り切って観る一方で、モヤモヤを感じていました。

セックスってもっと2人がラブラブで、生々しくて、神秘的なものじゃないの?

映画や小説や人づての体験談を頼りに、ウブな心なりに必死に想像した、夢にまで見る憧れのセックスの姿と、目の前に映し出されるAVとの間には、越えられない壁が立ちはだかっていたのです。

でも、探せど探せど、あまりにも似たようなコンテンツばかり溢れかえっているので、そのうち、

「セックスってこんなものなのかな。」

「女なんてこんなものなのかな。」

そう諦めるようになって、「童貞臭い幻想を捨てなきゃ」と自分に言い聞かせるようになりました。

ファーストキス事件

そんな私も大学生になり、小学校以来6年ぶりに、すっかり大人の女性になった異性たちと、再び同じコミュニティですごすようになりました。

私にとって彼女らは、ずっとAVの画面の中で見てきた性的な対象物そのものに見えました。

目の前に、夢にまで見た”あの”女性たちがいる。欲情は膨らむばかり。

そして私は彼女らを手に入れるために、ネットにはびこるナンパマニュアルや、有名な「恋愛工学」「LOVE理論」の類にすがるようになり、それらに感化されていました。

そしてとうとう、ある事件を起こします

上記の記事を公開したところ、Twitterで1000リツイート・2000いいねを超え、はてブで100件以上のコメントがつくほどの大きな反響を呼びました。

私は、女性を一人の人間として尊重せず、自らの欲望を満たしてくれるモノとして扱うような、性加害者の一人になっていたのです。


当時登録していた出会い系アプリのプロフィール写真

こんな愚かな僕を育てたのは、まぎれもなく思春期に夢中になって漬かりこんだ、AVを中心とした「女性をおもちゃのようにあつかうエロコンテンツ」と、それをほぼ唯一の異性を知る方法として共有し、会話に花を咲かせていた、男子だけの社会でした。

学校や家庭でほとんど性教育を受けず、リアルな異性と接することもないまま、スマホやPCで日々欲望のままにエロコンテンツを漁っては周囲と語り合っていた中高時代を経て、私は女性を自らの欲求を満たすためのモノとして見るような、ひどい大人に育っていたのです。

…物や環境のせいにするなって?それは議論の進め方としてもったいないです。社会を変えることで、私のような愚か者や、それによって傷つく人を減らせるんですよ?それはアクションとして可能なんです。私はそれがしたいのです。

…信じるお前が悪いって?あなたは運がよかったんです。誰もが信じないように教育しなきゃいけないんです。それに、今ちまたに並んでいるコンテンツは、あまりにも偏りすぎています。もっと別の選択肢、別の描かれ方をしたエロコンテンツも提示されているべきだと思いませんか?

…恋愛はそうやって失敗を繰り返して学ぶものだって?もしそれで相手が一生ものの傷を負ってしまったら、その相手にとっては取り返しがつきません。同じような事例が多いと分かっているのだから、個人の経験任せにして過ちを繰り返させず、みんなで未然に防止する努力をすべきではないですか?

そうだ、本物のセックス撮ろう。

結局、私はその後も、ひどい心構えのまま、異性へセクハラまがいのアプローチを続けました。「女性という”合格メダル”を手にできない」という不要なコンプレックスを抱えたまま。

そしてそのまま時は過ぎ、私は去年の3月に京都大学総合人間学部を卒業しました。

その後は、在学中のアルバイトに引き続き、大学近くのITベンチャーでWebサイトの企画・営業として働いておりましたが、半年後、将来的な独立を目指して、退職することになりました。

高橋マジェロのポートレート

今まで、周囲が好ましいとするような一流企業に憧れた就活を経て、それらとマッチしない自分に劣等感を持ちながら、学生時代のアルバイト先に、学生時代の延長として働いていた自分。

初めてあらゆる「しがらみ」のない自由なスタート地点に立って、本当に自分がこれからの人生でやりたいことは何なのか、そう考えるようになりました。

その間も、来る日も来る日も、虚しくあきれる思いとともに、エロ動画を流したスマホを片手に、必死に左手を動かしている自分がいました。

そして、分かったのです。

「そうだ、セックス撮ろう。」
ひらめき – 僕がItonamiを撮る理由 第1話 | Itonami(イトナミ)

「エロ動画はこのままでいいのか。俺はこれからもこんなエロ動画で抜く人生を送るのか。いや、絶対に良くない!」

世の中に似たようなエロ動画しかないなら、自分で理想の動画を作ればいい。自分が観ていて幸せな気持ちになれる動画を作ろう。

それは、「あらゆる人の本物のセックスをありのままに撮る動画」。2人の幸せや喜びを描き出す動画。2人の人間が交わっているという美しい奇跡をただ目の前に見せつけられる動画。

「実際にはそんなものは無い!」となったら絶望してしまいますが、話を聞く限りどうやらありそうですし、実際に取材してみないと分からないはずです。いや、この素晴らしい世界には、必ずあると私は信じています。たくさんの現実のセックスを取材したい。

そんなものを作ることができたら、私は心から幸せで、生きている甲斐があったといえるでしょう。

…結局お前の欲望を満たすためのものを作るのか、って?はい、その通りです。自分の感じるまま、求めるままに、自分が作りたいものを一生懸命作るのが、あらゆる創作活動の原点ではないですか?あくまでその良い副作用として、誰かを勇気づけられるかもしれないし、世の中を変える力になるかもしれないのです。


下記記事より引用)

あいみょんもこんなことを言っています。

『自分の楽曲を聴いて「勇気が出た」と言われると、嬉しい。でも、誰かを助けたいと思って曲を作っているわけではない。その時、自分の中から出てきた言葉を綴るだけ。 』
「友だち」ってどこまでが「友だち」なの? 高校をやめてわかったこと(Buzzfeed)より引用)

もし、ネットで好奇心のままに動画を漁っていた中高生のころ、女性を奴隷のように性奉仕させるAVではなく、今私が作ろうとしているような動画に出会っていたら、私は違った人間に育っていたのかもしれません。今の中高生や、これから思春期になる子たちがこれを見ることができたら、彼らの初めてのセックスも、パートナーシップの捉え方も、また違ったものになるかもしれません。

そしてもしかすると、その動画は、今なお自分と同じように不幸な考えや不要なコンプレックスにとらわれている人々や、彼らによって傷つけられているたくさんの人たちを、救うことができるかもしれない。
フェミニズムは非モテ男性も救う!? エロとフェミニズムの関係 その1 | Itonami(イトナミ)

こうして生まれたのが、Itonami(イトナミ)というプロジェクトなのです。

Itonamiアイコン

このプロジェクトの要点を2行で説明するとこうです。

  • 演技なしの実際のセックスを動画に撮る。
  • 色々な人の(継続的かつ積極的な同意にもとづく)セックスを撮る。

ただこれだけです。

「お前、頭おかしいんじゃないの?」って思いますか?

でも、これらが、冒頭で軽く触れた「あなたが命を落としかねない大問題」とその解決策に関わってくるのです。そのワケをご説明します。

「性の神話」と「幻の女性(男性)像」をぶっ壊す!

なぜ「演技なしの」かつ「色々な人の」動画を撮ることが大事なのか。

それは、既存のエロコンテンツが行ってきた「演技・パフォーマンス」や「出演者の選別」というものが、いまいましい「性の神話」や「幻の女性(男性)像」を生む原因となっているからです。

「性の神話」とは、「セックスとはこういうものだ、こうあるべきだ」といった類の、人々の頭の中に染みついて離れず、私たちのパートナーシップを縛って不自由で不幸なものにしてしまうセオリーのようなものです。

具体例を挙げると、「セックスは男性主導で行う、挿入を必ず伴うもので、男性の射精によって終わる」といったものです。ひどいものだと、「女性はレイプされると感じてしまう」「嫌よ嫌よも好きのうち」といったものもあります。

そして「幻の女性(男性)像」とは、そうした神話の中で崇め奉られている「理想の女性(男性)」の在り方で、私たちはそれを実際の目の前にいる相手に無意識に投影して、同じような振る舞いを期待してしまうのです。

巨乳で大きなお尻をした容姿端麗な若い女性が、男性が乱暴に腰を振ったり手でガシガシ刺激する度に、よがり声を上げる姿。そして、避妊具を付けずに膣内や顔面に射精されて絶頂する姿。こうした典型的な姿は、あまりにも私たちの目に焼き付いて離れません。

これらが私たちに、時に死に至らしめるほどの苦痛をもたらすのです。それはどういうことか。

「性の神話」と「幻の女性(男性)像」がどれほど危険か

なぜなら、こうした「性の神話」や「幻の女性(男性)像」は、性暴力・性被害を生む原因になったり、望まない妊娠や性感染症を引き起こしたり、お互いの性生活に不満をもったり、自身の性の在り方に不安やコンプレックスを持つ原因になるからです。さらには、性行為の範疇を超えて、「男はこう生きるべき」「女はこう生きるべき」というジェンダー規範を強化・再生産し、たくさんの人々を生きづらくしてしまいます

最初の性暴力・性被害については、到底ここに挙げきれないくらい、悲惨な例が日々後を絶ちません。2つ目の避妊や性感染症についても、最近では啓発が随分と進んできたように感じます。

それに加えて3つ目の、満足いかない性生活について、わかりやすい記事をご紹介します。
#metooと「bad sex」:性的同意があったかどうかを超えた議論の必要性|ちゃぶ台返し女子アクション|note

こちらのnoteでは、性的同意を取ることは大前提としても、それでもなお、セックスはまだまだ(特に女性が)楽しめない不自由なものであるということがわかりやすく説明されています。そして、その原因としてここで述べたような「神話」や「女性像・男性像」があると指摘しています。

また、有名な例では「AVの教科書化に物申す!」という、こんな取り組みもありますね。
1日に450人が”中絶”。性教育が浸透せず「教科書化」されるAVに、出演者たちが物申す | ハフポスト


AVの教科書化に物申す!@中大白門祭11/4のTwitterより引用)

4つ目、性の在り方には正解や間違いなんてあるはずがありません。その人の数だけ、そのカップルの数だけあるはずです。なのに、メディアに取り上げられるのは「(たくさん)売れるもの」だけですそして、よくメディアに取り上げられるものだけが、やがて人々の「常識」=「神話・女性(男性)像」として形成され、そこから外れた在り方の人は「異常者」となってしまうのです

異常者となった人は、社会から排除されます。それが嫌なら、我慢して秘密を隠し通すか、「病気」を治すための「治療」を強いられます。

真っ先に思い浮かぶのはLGBTの存在でしょう。彼らのことは現在あまりにも有名になり、徐々にではありますが市民権を得ようとしています。しかし実は、性の在り方って、名前を付けて分類しきれないほどたくさんあるんです。最近も性の在り方について、日々新しい言葉を聞きますよね?

例えばこちらを見てください。


下記記事より引用)

以下の記事では、タイでは性別が18種類認知されていて、日本より比較的寛容に受け入れられている様子が取材されています。
性別は18種類 「LGBT」先進国タイの第一線で活躍する人たち | AbemaTIMES
また、下のページではセクシャリティを表す98もの用語が説明されています。あなたもまだ気づいていないだけで、思わぬセクシャリティを持っているのかもしれませんよ?
セクシャリティAtoZ:あとりえ 85-n.

最後のジェンダー規範の強化については、以下の記事にまとめましたので、ぜひ目を通してください。
フェミニズムは非モテ男性も救う!? エロとフェミニズムの関係 その1 | Itonami(イトナミ)

このように、「世の中には男と女という2種類の性別がある」「男はこういうもので、女はこういうもので、カップルとはこういうものだ。」という神話は、もはや私たちの足かせでしかないのです!

「性の神話」と「幻の女性(男性)像」はなぜ生まれるのか

では、皆さんを不幸で不自由にしてしまう、こうした神話や女性(男性)像は、なぜ生まれるのでしょうか。

私はそれを、次のような3ステップで説明します。

  1. エロコンテンツが「売らんかな主義」によってファンタジーを描き出す。それは、売上を増やすために「大衆ウケ」する似たような内容になる。→同時多発的な神話・像の創作
  2. ファンタジーは一方的な欲望の発露になりがちで、非道徳的な内容とされる。それらが他の性的コンテンツと比較にならない規模で大々的に頒布されることで、性自体のトピックが「いやらしいもの、卑猥なもの」と印象付けられ、タブー化する。→神話・像の独占
  3. 性教育が不足している日本では、性がタブー化すると、個々人が閲覧するファンタジ―しか情報源がなくなる。そのため皆がファンタジーを常識として、再生産するようになる。→神話・像の定着

恐ろしい問題の構造がわかっていただけたでしょうか。

どうやって神話・像をぶっ壊すのか

この問題を解決するために、私が今まで知る中で、

2. にアプローチする人=性の話題をオープンにしようとする人や団体
3. にアプローチする人=性教育、正しい性知識を普及させる人や団体

にはいくつも活動が起こりつつあるのを知っていますし、お話を伺ったこともあります。ごく一部ではありますが、お二人の名前を挙げておきます。

●シオリーヌ(大貫詩織)さん
シオリーヌの活動紹介!性を語る、おしゃべり助産師 | yottoko.net


シオリーヌ(大貫詩織)さんのTwitterより引用)

●コンドームソムリエAiさん
私がコンドームソムリエを名乗るまで。|コンドームソムリエAi|note


コンドームソムリエAiさんのTwitterより引用)

しかし、1. についてはどうでしょう。確かに、既存コンテンツに対する表現規制やゾーニングといった「ネガティブな方向の」議論は多いです。しかし、これは表現の自由や芸術・文化の豊かさともぶつかる難しい話です。

一方で、既存コンテンツに代わって従来の神話・像を打ち破るような、次世代の「エロコンテンツ」の在り方を提示し、創作している人や団体を目にすることは、日本ではまだまだ少ないです。特に、AV・エロ動画という、エロコンテンツの中で最大の規模にして最強の影響力を持つコンテンツに対しては


Wikipediaより引用)

私は、まさにその1. に切り込み、「AVに代わる新しい性の動画」を作ろうとしているというわけです。

もちろん、2. と3. への対策が行き届くようになれば、1. の既存のファンタジーを描くようなコンテンツがあってもいいかもしれません。(ただし、出演者・描かれる対象者など、すべての人の人権が尊重されることを前提とします。)

しかし、それがまだまだ不十分な現状で、なおかつ神話・像の定着をより確実に防ぐために重要なのは、1. において別の選択肢が提示されていることではないでしょうか? 繰り返しになりますが、今の性的コンテンツの内容は既存の神話・像を踏襲し、強化する方向に偏りすぎています。もっと違う描き方のものも並んでいて、消費者が見比べて考えることができることが必要ではないでしょうか?


John LodderさんのFlickrより引用)

神話がニョキニョキ生えてくる仕組み

では、なぜ既存のコンテンツは偏ってしまう、つまり同時多発的に似たような神話や像を描いてしまうのか。

その原因の本質は「演技」と「出演者の選別」にあると考えています。だからこそ私は「演技なし」で「色々な人が出演する」動画を「次世代の性の動画」として提案したいのです。

「演技」も「選別」も、ともに何らかの目的をもって、誰かの意思により人為的に行われるものです。そしてそれは現代においてもっぱら、「より多くの人に作品が支持されること」を目的にして行われています。

なぜなら、コンテンツの制作は、商業目的ならその作品の売上を最大化するために、趣味にしてもその作品に「いいね!」をくれる人の数を最大化するために行われるからです。

そんなことないよ、よく探せばニッチな作品、トガった作品だっていっぱいあるよ、と思う方もいるでしょう。しかし逆に言うと、世の中に広く出回るものは、多くの人が好きなものに限られるのです。

そして恐ろしいことに、「多くの人が好きなもの」と「私たちのありのままの姿」は往々にして異なっていることが多いのです。どうでしょう、今これを読んでいるあなたが、今すぐ自分にカメラを向けて写真を撮ったり何か喋ったりして、SNSにUPしたら、どれだけの「いいね!」がつくでしょうか?それを買ってくれる企業はいるでしょうか?
(それを可能にしたTikTokやSnowの恐ろしさについてはこちらの記事をご覧ください。結局、同じようなことをしているのです。
アンチ情報の欠落、アンチ均質化 – 僕がItonamiを撮る理由 第5話 | Itonami(イトナミ)

そこで、本来の私たちのふるまいを「演技」によって「多くの人にとって好ましいもの」へと変形させたり、「選別」によって「多くの人にとって好ましい人」だけを選り分け、それ以外を切り捨ててしまったり、ということが、当たり前のように行われています。


トピックス:南濃みかん出荷本格化[JAにしみの]より引用)

こうして、現実の私たちとは異なる人間の姿、かつ、どれもよく似た姿、すなわち神話や像が、世の中の大半のコンテンツで同時多発的に描写されるというわけです。

付け加えて、数あるエロコンテンツの中でAVすなわち動画の神話布教能力は最強クラスである、ということも指摘しておきます。

その理由は、人々は写真と同様に「映像は嘘をつかない」という伝説を信じてしまいがちだからです犯罪が起こった時も、防犯カメラの映像は「動かぬ証拠」になりますよね。

映像は、あたかもそれが真実であるかのように錯覚させてしまう力が強いのです。アニメ、マンガや小説に比べて。

しかし実際には、あなたが画面を通してみている映像には「演技」や「選別」がふんだんに盛り込まれている。映像はその気になればいくらでも嘘をつけるのです。これは厄介です。

「演技」と「選別」をしない動画ブランドを立ち上げる

だから私は、Itonami(イトナミ)というブランドを立ち上げます。Itonamiの名にかけて、また高橋マジェロという一作家の名において、「これらの映像は、様々な人々の実際の営みを、可能な限り忠実にアーカイブしたものだ」ということを保証しつつ、淡々と集めていきたのです。

つまりは、繰り返しになりますが、「演技」と「選別」を行わないで動画を取材していくということです。

まとめると、

  1. ファンタジーなき人々の営みの姿を、それを見ることを必要としている誰かに届けること。AV・エロ動画というファンタジーに代わるもう一つの選択肢として。
  2. そして、彼らが生きた証を残していくこと。彼らの存在が、世に蔓延する神話や幻の女性(男性)像によってかき消されてしまわないように。

これがItonamiのミッションです。

具体的にどういう人が何のためにこの動画を見る必要があるのかは、こちらの記事をご覧ください。
何でItonamiが必要なの? 何の役に立つの? AVじゃだめ?

そしてこうした活動を通して、セックスやジェンダーについてのゆがめられた固定観念(=神話・像)とは対照的な映像を広めることで、社会全体の問題意識を高め、人々の見方をアップデートしていくこと(=神話・像をぶっ壊すこと)がItonamiの最終的な目的です。

Itonamiのもう一つのミッション

以下の記事に分割しました。こちらをご覧ください。
外を歩くと苦しい!地獄のような、あの日々 ー有村藍里さんの整形告白に思うことー

結論としては、このようなものを目指しています。

  1. 画一的な美の価値観と品定めにノー、自虐文化にオサラバ。誰もが自分を好きになれるメディアになる。
  2. そのために、人のありのままの個性をこぼさず拾い、全肯定する「アートの容れ物」となる。

答えは瀬戸内海に浮かぶアートの島にあった

「そんなことができたら理想だけど、実際には難しいよね。」

そう思われるかもしれません。

実は私は、ここまでに述べてきたミッションを達成するにはItonamiがどんな風にあればいいのか、そのモデルとなるものをすでに見つけているのです。

それは私が大学の建築学科で学んでいた頃に訪れた、瀬戸内海のアートの島、直島と豊島にありました。

直島・豊島は、高松から船で北に1時間ほど進んだところにある小さな島々です。ベネッセが中心となって開発を進め、世界的に有名な現代アーティストの作品を集結させた、まさに「アートの島」です。

特徴として、安藤忠雄さんや西沢立衛さんといった日本を代表する建築家がアーティストとコラボしていて、展示空間である建物や周囲の自然、鑑賞する人々が一体となって一つの作品を形成する「インスタレーションアート」を、国内では類を見ない規模で、存分に味わうことができます。


豊島美術館 | 豊島観光ナビより引用)

これらの作品群が、まさにItonamiのミッションと同じく、一切「演技・選別」を行うことなく、ありのままの「アート」を集めてきて、それらを全肯定するような作品なのです。

私が不安やコンプレックスに心が折れそうになっていた時期も、これらの島で過ごす時間は心洗われるような時間でした。こうしたアートが心を癒してくれました。

例えばこれは、写真家・杉本博司さんの『海景』という作品群です。


ベネッセハウスミュージアム | アート | ベネッセアートサイト直島より引用)

世界中の水平線を、ちょうど写真の上下中央に水平線がくるように、同じサイズでモノクロ撮影して、大量に集めています。

これらを見て、太古の人類が見ていたであろう海や、今も世界のどこか遠くの人が見ている海に思いをはせて、時空を超える体験ができるわけです。そして、それぞれの海が見せる、皆異なる姿を味わうことができます。

沢山の海が一堂に会した姿は、地球の雄大さや神秘を感じる鳥肌ものです。

次のこちらは、クリスチャン・ボルタンスキーさんの『心臓音のアーカイブ』という作品です。


心臓音のアーカイブ | アート | ベネッセアートサイト直島より引用)

これは、何万人にもなる世界中の人々の心臓の鼓動を、高音質で録音したアーカイブです。好きな人のデータを選んで再生すると、部屋中に響く巨大なスピーカーからの音と振動、そしてそれに合わせて点滅する電球の光により、その人の生命を全身で体感することができます。

心臓の音って、早さも音色もみんな違うんです。そして、死んでしまった人の鼓動もここに来れば聞くことができます。希望すれば、誰でもアーカイブに自分の鼓動を登録してもらえます。

こちらは、ジェームズ・タレルさんの『オープン・スカイ(通称:タレルの部屋)』という作品です。


光の芸術、ジェームズ・タレルの日本で見れるタレルの作品【a】|ミライノシテンより引用)

これは何もない正方形の部屋の中に、同じく正方形の天窓が開いているだけの空間です。鑑賞者はただただ腰掛けて、その天窓から空を眺めるほかありません。空の姿は、その日の天気や時刻によって刻一刻と姿を変えていき、一時たりとも同じ姿を見せることはありません。

そして実はこれ、まったく同じ構造の作品が日本でもあと2箇所、金沢21世紀美術館と新潟の宿泊施設にあり、また世界中に設置されているのです。あなたが見ている空は、世界の誰かが見ている空と同じ空で、原始の人類が見ていた空とも同じ空なのです。

つまり、これも先述の『海景』と同じように、時空を超えることができる装置なのです。

セックスの映像アーカイブを作る!

今までご紹介してきた3つの作品には共通するところがあります。

それは、

  1. 自然や人間による、その時・その場限りの、全て異なる営みをアーカイブしている
  2. 共通のシンプルなフォーマットで、鮮やかに記録、再生している
  3. 選別・演技を行わない、ありのままの姿である

ことです。

そして鍵となるのが、この作品を制作・鑑賞するうえで、「いけない海」「いけない鼓動」「いけない空」ってありませんよね。すべて自然の営みとして、私たちは受け容れます。

私が直島で「タレルの部屋」をはじめて訪れた時は、真夏の昼下がりで、雲一つない快晴の青空が見え、陽射しが差し込んでいました。

その次に、金沢でふたたび「タレルの部屋」を訪れた時は、雪国の正月で日も暮れ、真っ黒な夜空からぼたん雪が室内に吹き込んでいました。

どちらも息を呑むほど美しいものでした。

仮に、その日が一面灰色の曇天だったとしても、あるいは秋のいわし雲がたなびいていたとしても、その部屋は何ら否定されることなく、アートであり続けるでしょう。
現代アートへの憧れ – 僕がItonamiを撮る理由 第7話 | Itonami(イトナミ)

これらの作品群では、例え自然や人間の営みがどんな姿であったとしても、それはそのままアートとして作品になり、美しく記録され、鑑賞されます。すべての”アート”が全肯定されるのです。

もうお分かりでしょうか。

私は、これらの現代アートが海や空、心臓の鼓動をアーカイブするのと同じように、人間のセックスをアーカイブしたいのです。

たくさんのカップルの性の営みを、共通のシンプルなフォーマットで、可能な限り高精細かつダイナミックに撮影します。それを淡々と、たくさんアーカイブしていくのです。

そこでは一組一組すべてのカップルが、そして一回一回すべてのセックスが、唯一無二のアートとなるのです。

そんな、ありのままのセックスを集めた動画アーカイブ、それがItonamiなのです。

好きな人と心のままに喜び合ったり、愛し合ったりする自分の存在が、そして二人の存在が肯定されたら、それって最高の肯定だと思いませんか?

何も装わず、感情のままに、思い切り自分たちの幸せや喜びを、生きた証として残していきませんか?

そしてそんな姿は、人間という存在が見せる普遍的な、とても神秘的で美しい姿だと思いませんか?
ドキュメンタリーへの憧れ – 僕がItonamiを撮る理由 第6話 | Itonami(イトナミ)

だからこそ、私は、セックスというものをアーカイブしたいのです。

欧米ではすでに似た試みがある!

ここまで聞いてきて、こう思われるかもしれません。

「確かに意義はあるだろうし、物理的に可能ではある。でも今の社会で実際にやるには、道徳的にも心理的にもあまりにもハードルが高くて突拍子もないのではないか」

と。

しかし、ジェンダーやセックスの問題において日本よりかなり先進的な側面を持つ欧米では、すでにいくつも、Itonamiと同様の問題意識から、Itonamiと似たような試みが行われてきているのです。


番組のインタビューに応じる大学生カップル
NRK TV – Line fikser kroppen – 4. Tissen (Sesong 1)より引用)

例えば、ノルウェーの国営放送局NRKが、若者向け性教育番組で、大学生カップルが日常のセックスをする姿を取材して、その一部始終をテレビ放送しています。出演カップルは、NRKの公募に応じた40組のなかから選ばれました。
ノルウェー国営放送局がカメラ前でセックスするカップルを一般募集(鐙麻樹) – 個人 – Yahoo!ニュース
ポルノではない「普通のセックス」をノルウェー国営放送局が放送(鐙麻樹) – 個人 – Yahoo!ニュース

上の記事によると、この番組は、ポルノ文化の蔓延によって非現実的な人間関係や身体が若者の間に広く認知されていることと、それゆえ多くの若者が自分の身体に対して否定的な感情を持っていることに危機感を持って制作に踏み切られたそうです。

そのため、番組は性器や挿入に注目するのではなく、2人の親密な人間関係や笑顔で見つめあうところ、スキンシップの様子などを伝えるような内容になっています。また同番組の他の回では、乳房や性器の形の多様性について取り上げ、身体へのコンプレックスに向き合っています。


シンディ・ギャロップさん(下記記事(She is)より引用)

もう一つ、イギリスやアメリカで活躍する起業家、シンディ・ギャロップさんが立ち上げた動画配信サイト、「Make Love Not Porn」をご存知でしょうか。
私たちが学ぶべきセックスは、ポルノからじゃない。 | ハフポスト
ポルノ作品のマネではなく、「私」と「あなた」のセックスをしよう – She is [シーイズ]

「Make Love Not Porn」は、誰もが、自分たちの演技ではないセックスの動画を投稿することができ、それらを集めて配信するサイトです。すでに2000件以上の動画が寄せられているそうです。


Make Love Not Pornより引用)

上記の記事によると、シンディさんは、20代の男性とセックスしたときに、彼がポルノと同じような不快な行動をしてきたのに驚いた経験をもとに、このサイトを設立したそうです。

セックスについてオープンに話せない社会のなかで、若者が手軽にアクセスできるポルノを教科書として、不快や不自由な思いをしていることに問題を感じ、現実のセックスについて自由に話せるきっかけを作ることを目指しているとのこと。「セックスをポルノ業界から私たちの手に取り戻そう、民主化しよう」ということです。

彼女はこのサイトについて200万ドルの資金を調達し、TEDにも登壇しています。


上記記事(ハフポスト)より引用)

このように、ポルノが主役となって若者がセックスを学ぶ現状、また、それにより人々が辛い思いをしている現状に危機感を持ち、その対抗策として「実際のセックス」の動画を公開していこう、という動きは、欧米ではすでに始まっているのです。

もちろん、こうした活動には本国でも賛否両論、様々な意見があるそうです。しかし、私と同様の危機感を持ったり、活動をする人間は決して前代未聞の存在ではなく、欧米において一定の社会的評価を得ているということは重要な事実です。

もちろん、今の欧米と日本の社会状況は異なりますし、文化も道徳観も違います。加えて、Itonamiにはいくつもの私独自のコンセプトや制作・運営方針があります。ですから、こういった先行事例を参考にしつつ、また大いに勇気づけられつつも、日本ならではの、また私ならではのアプローチを大切にして、Itonamiの活動を試行錯誤していきたいと思っています。

現在までにやってきたこと

こうした思いを胸に、前職のIT企業を退職した昨年10月初めから、活動のコンセプトを固めるとともに、作品とサイトについての企画や先行事例の調査などの準備をはじめました。

そして、Itonamiをつくるまでの経緯や思い活動の社会的意義動画の具体的内容今後のスケジュール自己紹介などを記事にまとめていきました。

それと同時に、実際に動画や記事を配信するためのWebサイト(https://itonami.com/)を、WordPressとAWSをベースに開発し、11月26日に公開しました。


Itonami(イトナミ) | みんなのセックスアーカイブ

こちらのサイトには、ブログ機能はもちろんのこと、独自サーバーから動画を暗号化してストリーミング配信する機能、月額会員登録できる機能が実装されています。これによりYouTube等外部サービスの規制を受けることなく動画を配信し、収益化することができます。

また、サイト公開に合わせて以下のTwitterアカウントを公開し、現在に至るまで日々積極的に発信を続けています。
高橋マジェロ(@majello_t)のTwitter

こちらのアカウントでは、Itonamiの活動報告や各種イベント参加レポはもちろんのこと、最新のセックスやジェンダーの話題を中心に、国内外の事例のシェアや私の意見を投稿しております。

おかげさまで先日にはフォロワー様が800名を突破し、ありがたいことに、2019年3月10日現在もうすぐ900名に達しようとしています。

また、講演会や交流会などのイベントにも積極的に参加し、自身の知見を深めるとともに、色々なバックグラウンドの方と対話したり、性の分野で活動されている他の方々とのつながりを広げてきました。


2019年1月19日トークアバウトセックス(前列中央の濃いシャツが私です)
うおしーらんさん(@uosheeran_song )のTwitterより引用)

主なイベント参加歴

彼らからもItonamiについて様々なご意見・感想をいただき、それを受けこのページの公開に至るまでブラッシュアップを重ねてきました。


2019年2月3日性に関する若手アクティビスト交流会(中腰の右から2人目が私です)
おかめさん(@okamechan_OK)のTwitter提供)

こうした性について悩みを抱え、また性をめぐる問題に真摯に向き合っているたくさんの方々から

「素敵!めっちゃ興味ある!」

「絶対必要だよね、そういうの。」

「これで世の中変わると信じてます!」

などなど、予想外なほど暖かい励ましの言葉をいただくたびに、一層制作にかける思いは強さを増すばかりです。

いざ、クラウドファンディングへ!…からの掲載拒否

このような経緯で「機は熟した」と思い、3月14日未明、上記の熱い文章を添えて、Itonamiアーカイブの試作品となるPVの制作プロジェクトをCAMPFIREに提出しました。すると…


CAMPFIREからの返答のメール

ある程度予想はしていましたが、審査時に「わいせつ物」で「青少年の健全な育成を阻害する」という理由で掲載拒否されてしまいました。

それを受けて私はTwitterで抗議の投稿を連発。あらためて、この現状を批判し、Itonamiの理念を訴えました。

一緒に最初の作品を作るカップル様を探しています!

とはいえ、社会からの目も厳しいなかで、一企業である大手プラットフォームがこうした炎上リスクの高いセンシティブな案件を抱えるのに、腰が引けるのも仕方ないでしょう。

だからこそ、こうして自前の動画配信サイトを構築してきたのです。実を言うとこのサイトには、自前のクラウドファンディング機能もおおかた実装が済んでいます。ですから、もう規制だらけの大手のプラットフォームには頼らず、どんどんこのサイト上で活動を進めていくことにします。


クラウドファンディング機能のテスト画面

ともかく、こうしてどんなに現状を批判し、自分の理想やアイデアを語ったところで、まずは一度、作品を形にしなければ何も始まらないと思っています。

百聞は一見に如かず。皆さんには、まず実際に出来上がった作品を見ていただいて、それに対して色々なことを感じて、考えて、議論してほしいのです。その上ではじめて、試行錯誤しながらItonamiも世の中も前進していけると思っています。

そこで、私は一緒に映像を作らせていただけるカップル様を探しています。今は個人での一からの活動ですから、何ら内容に制約はありません。まずはお二人とご相談させていただき、協力して最初の作品をつくりあげていけたらと思います。

もちろんItonamiの理念にもありますように、カップル様の性別・年齢・国籍・容姿などは一切問いません。映像の撮影内容も、必ずしも性器の挿入や愛撫だけがセックスではありません。私自身は「スキンシップを伴う親密なコミュニケーション」の姿を撮ろうと現時点では考えていますが、お二人にとっての「セックス」とは何かを教えてください。報酬やご協力者様のプライバシー保護などについてもよく話し合いながら、「今までにない新しい性の動画」を一緒に制作していけたらと思います。

#エロが変われば社会が変わる

エロを変えるために、そしてもっと自由で幸せなセックス・ジェンダーを実現するために、誰もが自分を好きになれる世の中にするために、「みんなのセックスアーカイブ」づくり、私と一緒に立ち上がっていただけませんか?

少しでも理念に共感された方や、興味を持たれた方は、下記フォームまたはメール、TwitterのDMにて、私、高橋マジェロまで一度ご連絡ください。

 

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